時をかける少女

時をかける少女 通常版 [DVD]
初めて観たときに、二度泣きました。
ネット上で評判がよかったので、手足口病で休んだ息子の世話をしながら昼間に観て、予想外に泣きまくっていました。


最初は、主人公 真琴がタイムリープのたびにごろごろと転がりまくり、コメディの様相でしたが、時間を操ることで他人の人生を悪化させていることに真琴が気づき始めます。
そして、それが大好きな人の人生を取り返しのつかないものにしてしまったことが分かり、何とかしようと懸命に駆ける姿に涙は止まりませんでした。
とてもいい映画で、子どもにも、いずれ大人になったときに観てもらいたいなと思いました。


「は? ジュブナイルを大人になって観てどうするの?」と普通は思いますよね。
親としての勝手な気持ちなのですが、若いとき、学生時代辺りにこの映画を観て「感動!→恋愛正当化→気持ちのまま突っ走る」では未来がないと思うからです。
「好き」という感情のみで突っ走ってしまうのはとても怖い。
気持ちはとても一過性のものであり、ちょっとしたことでも簡単に「嫌い」となる。
好きという気持ちに依存してしまうことは本当に怖いことである。
「ラブ・アディクション」という言葉があるが、自分をこの世につなぎ止めておく理由が「恋愛」しかなくなると、相手との関係を維持することに全ての精神と時間を振り回され、まともな人間ではなくなってしまう。
好きとか嫌いとかは一時的な感情に過ぎず、悲しいかもしれないが、あまり重要なことではない。
数十年間、共に人間として成長でき、共に次世代となる子を育成することができる「パートナー」を、時間をかけてしっかりと見極める、見つけ出すことが、長い人生を考えると最重要になると思っている。
だから自分の子どももそれが分かる人間になってほしい。
故に、とてもいい映画なのですが、恋愛賛歌を単純に喜んで子には勧められないのです。


とは言っても、物事は理屈や頭で理解することはできますが、経験によってのみ初めて体得することができるものです。
私自身、理屈では分かっていても感情はコントロールできず、後で考えれば「どうしてそんなことを」と思うような恋愛に何度か突っ走ってしまったことがありました。
こけてみて、初めて分かるんです。
なので、やはり一度こけてみないと、自分の子も体得はできないんですけどね・・・
せめて親がこけた話はしておいてあげたいな。
大人にとっても、子どもにとってもいい映画でした。