お金がないので効果的に部下にごちそうしたいというケチな上司へ(笑)「人はカネで9割動く」

人はカネで9割動く

人はカネで9割動く

居酒屋で奢って部下の心がつかめるか?
答えはノー。
心をつかむどころか、部下は、貴重な時間を割いて上司のお相手をしているつもりでいるのだ。
では、部下を飲みに誘うのはムダなのか?
そうではない。
誘い方がダメだ。
「加藤君、帰りに軽くどうだい?」
と誘ったあとに
「このところ頑張ってるね。慰労したいんだ」
と付け加えたら、加藤君はどう感じるだろうか。
大感激だ。

こういうことって、簡単なようで分からないんですよね。

企業で、ポジションが次第に上がってくると、必然的に部下を持つようになる。
すると「マネジメント」の問題が出てくる。
世の中にこれほどたくさんのマネジメント本が出ているにも拘わらず、マネジメントについて真剣に考えたことのない上司はとても多く、結果として、いつの間にか部下が面従腹背になっている部署が殆どだと思う。「うんうん、同じだ」とうなずける人ばかりじゃないかな。
誰もが思いつくMBO(目標管理)やどんなインセンティヴを導入したとしても、そう容易にはパフォーマンスや生産性は向上しない。
結局は部下の、人の心の問題だからだ。


そこで熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素 (ウォートン経営戦略シリーズ)に代表される、モチベーションを上げることを念頭に置いた取り組みが重要になる。

熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素 (ウォートン経営戦略シリーズ)

熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素 (ウォートン経営戦略シリーズ)

この本もいい内容なんだけど、大きな組織であればあるほど、これはそう簡単に実現できないんですよね。
「四の五の言わずに(俺たちは残業代出ないんだからおまえらも残業つけずに)結果出せ!」って、管理職が多いですから・・・


そこで、この人はカネで9割動くです。
日頃パワハラ気味の上司でも、これを読めば手軽に「部下のハートをがっちりキャッチ」です(笑)

同じ一万円でも
「これで酒でも飲んでくれ」
と言えば、ケチ
「お茶でも飲んでくれ」
と言えば、太っ腹と思われる。

とか、なるほどです。

お金の賢い使い方の本なのですが、マネジメントも人間関係論。
体系的にまとまってはいないのだけど、人心の機微に関するtipsが多く書かれており、上司と部下の関係に関しても即役立つことが多くあります。

相手の予想を上回る褒美を与えること
祝い金は誰よりも早く、援助金は誰よりも遅く
ああ見えてもいい人なんだと思わせる金遣い
報酬を先渡しして相手の意表を突く
新入りの部下には「特上」を振る舞うこと
なぜ奢るのか、理由をはっきり伝える

個人的に、最も心に残ったのは、

先日、所用があって、フリーライターの前園君と一緒に某テレビ局に行ったとき、廊下を歩いていて、スタジオから出てきたベテラン人気俳優の敷島三郎(仮名)とすれ違うや、前園君は
「おはようございます。すっかり春めいて、桜もまもなくですね」と、笑顔で挨拶。すると
「ホントだね」
と敷島三郎が微笑みを返してきた。
それを見て驚いたのが、私たちを案内していた局の広報マンだ。
敷島は気むずかし屋で、局内では腫れ物に触るように接している。それなのにこの若いフリーライターは敷島三郎に気安く声を掛け、敷島も笑顔を返してきたのである。
「前園さん、敷島さんとお知り合いなんですか?」
「いえ、全然」
「知らないの?」
広報マンは驚き、前園君の顔をまじまじと見たのである。
おもねらず、臆せず、前園君のすばらしさはここなのだ。

人間は相手が自分に対してどいいう意識で接してくるかによって態度を決める。自分が偉いと思うから尊大になるのではなく、相手が卑屈な態度で接してくるから尊大になるのだ。同様に、相手が高飛車に出てくれば身構える。そして、ごく自然に対等の意識で接してくれば、対等の立場で対応してしまうのだ。

私は、ついどんな人に対しても丁寧に、場合によっては下に出てしまうことが多かったりするのだけど、それは必ずしもいいことではなさそうですね。なるほどと思いました。


「お金のことなんて汚い、せこい、言うのもはばかられる」と感じている人(私がその一人ですが)にこそ、役立つ一冊だと思います。
でも、根底に流れているのはやはりこの本。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

この本を読んで考え抜けば、他のマネジメントの本はいらないかも。
他の本はこの本の応用編という感じがします。
やっぱり影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのかはすごい本です。
この内容で、こんな価格とは安すぎです。