googleに象徴される福利厚生の今

コスト削減の対象となりがちな福利厚生制度(Fringe Benfit)。
バブル崩壊成果主義に基づく原資(労務費)の公正な配分」のお題目の下、歴史ある日本企業であっても福利厚生は削減され、現在に至っている。
バブル崩壊→景気が悪くなった→コスト削減」という一連の流れの中で、この福利厚生は社員の抵抗が比較的少ない人件費であったため、これでコストダウンしようという答えが出るのは極めて自然であったと思う。


当時、日本全体がこのような状況であったから、その頃新しくできた企業では、福利厚生制度はほとんどなく、全て賃金or賞与(成果報酬部分)として支給するという制度にしているところが多い。

このせいもあってか、次第に日本企業は「入社から墓場まで*1」という家族的集団から「転職もありあり」のアメリカ的雇用契約関係に基づく組織に変質したところが多くなったと思う。


このような方向性で本当にうまくいくのだろうか?


バブル崩壊より15年、その後を見ると、この「契約関係」への変質はうまくいっていない。
その理由は、ここに的確に書かれていると思う。
西村肇氏『人の値段 考え方と計算』あとがき
なるほど、家族である共同体(組織)のメンバーに必要なのは「愛」であり「評価」ではないのだ。
ドライな契約関係に徹することができないのであれば、共同体として動き、その運営やルールは「愛」をベースにしなくては相容れないのだとしみじみ思う。


個人的な意見としても、お金だけのドライな関係では、声は脳には届くが、心には響かない。
熱い想いがなくては、創造的なもの、協力的なものは生まれにくい。

組織は長きにわたって繁栄・成長していくことが求められている。
そこにいるメンバーにも同様のことが求められる。
また私のポリシーとして、仕事に限らず、人は人として成長していくことがとても大切だと思う。
そこにいるメンバーが「よし!がんばろうっ!」と思わせるような、motivateする何かがなくては、皆がずっと生き生きとし、成果を出し続けることはできない。
メンバーをそのような状態に維持するためには、やはりメンバーを家族のように思い「愛」をもって、本気で、時には厳しく、時には優しく、その人間の成長を見守っていくことが大切なのだと思う。
小手先の人事制度ではだめなのだ。


これが「愛」かどうかは判断の分かれるところではあるが、googleの社員食堂の記事があった。
http://www.kosa-ca.com/cgi-bin/column/data/column/1080278929.html
はてなでも「googleに負けてなるものか!(笑)」と、id:reikonさんが、しっかりいつもお菓子を準備し、内容も充実させているみたい。
リテインのためのテクニックと考えることもできるが、はてなのお話を聞いていると、やはりベースにあるのは愛なのだなと感じられます。
社員にもしっかりと伝わるように、いろいろとやってみようと思います。

結局外れてしまったけど、外れることを見越して注文しているはてなの本、早く来ないかな〜

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

*1:企業の終身年金によるケアにより