わが子に教える作文教室

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

どこかのブログで紹介されていて、読んでみました。
子どもの気持ちをふまえた上で、子どもが心から楽しんで書いていけるよう指南していくところがとても共感できました。
これは大人、社会人に対する指南も同じことですけどね。
子どもの育成において、娘に日記を書いてもらうようにしていて、いろいろ考えた上で楽しんで成長できるようアドバイスをしているので「そうだよねぇ」と同意しながら読んでいったのですが、次の二つはとても印象に残りました。
一つは「必ずしも心理面の描写を求めるな」という点。
普通文章は「どう思ったか、感じたか、考えたか」がとても重要で、それを書いてほしいといつも考えるのですが、「そう感じられない子もいる。それはそれでいいじゃないか。その子は他の特性があるから、無理に文学的な方向に向けなくても、観察的な文章でもいいと思うよ」という考えもありますよ、と著者は述べます。
なるほど、「文章作成のテクニックとしての作文」と「作文に書かれる心の動き・倫理的なもの」を分けてとらえて、一緒くたにしないという考えは興味深いです。
もう一つは「子どもでも読み手のことを意識して、親や先生に読まれる文章は、いい子の文章になり、本音は書かない」という点でした。
その通りでしょうね。大人は当然として、子どもでもやはりそうですよね。
これはどうしてもそうなるもので、変えようがない気がしますが、書かれたことを否定しないことを繰り返せば、ある程度は本音がかけるかもしれません。
これは親と子のコミュニケーションの深さの問題ですが、そうなって、かつ維持できるようがんばりたいです。
総じて簡単に読めて、いい本でした。